蓮花院は埼玉県久喜市に位置する真言宗智山派の寺院です。寛永11年(1634年)以前に、久喜市の光明寺の末寺として創建されました。開山は海順和尚で、本尊は不動明王です。
蓮花院の「八剱山縁起」によると、寺の開基は中村久右衛門によるものです。中村久右衛門は寛永年間に、この地の霊地であることを見出し、茅棘を払い、小高い丘を平らにして、精舎を建立しました。そのため、蓮花院は当初「蓮花院中村寺」と呼ばれていました。
中村氏の先祖は、源義朝公の家臣であった鎌田兵衛政清の子孫でした。一時期、中村家の勢力は衰えていましたが、後に子孫の中村備中守秀光が古河公方に仕えました。秀光は甘楽院政氏の時代に、三保の松原の合戦で武勇を示し、その功績により「中村」の姓を賜ったと伝えられています。
以上が、蓮花院の創建と中村家との関わりを記した縁起の内容です。蓮花院は、中村久右衛門の信仰と中村家の歴史と深く結びついた寺院であることがわかります。
明治維新後、廃仏毀釈の影響を受けましたが、地域の人々の信仰心により守られました。関東大震災では久喜周辺は被害が比較的軽微でしたが、その後も地域の協力により維持されてきました。